ヒメハリテンレック (Echinops Telfairi) さんは
まだまだマイナーなペットさんであり、
動物病院で診察する件数もほとんどありません。
そんな動物さんを飼育・診察する上で大事なのは
どんな病気になるのか?
なりやすい病気や死因としてはどんなものが多いのか?
ということです。
今回はヒメハリテンレックさんの死因などの情報が
まとめられていた論文を元に少し考えてみたいと思います。
ヒメハリテンレックの基礎情報
名前 :ヒメハリテンレック
英名 :Lesser Hedgehog Tenrec
学名 :Echinops Telfairi
ハリネズミさんと間違われることが多いですが、
別の動物です。
かなり原始的な動物で
体温調節が下手だとか言われています。
パッと見で特徴的なのは
・ビーズのように小さな眼
・木登りも出来る器用な手先
・ひんやりとした体温
などなど…
ヒメハリテンレックの死因(海外の動物園情報)
ヒメハリテンレックさんで
死因などまとまった報告はあまりないですが、
2017年に初めて世界の動物園20か所を対象に
アンケート方式で情報をまとめた論文が出ていました。
生死含め約200匹のヒメハリテンレックさんの
死因など出ておりまして、
詳細は割愛しますが
その中に載っていた表が以下のものになります。
先に注意点として
※約半数は死因不明/その他
※図からは除かれていますが、死因としてはその次に腫瘍が多かった。
※産後24時間での死亡数が最も多い。
ということも頭の片隅に置いておいて…
図からなんとなく分かる死因の傾向として、
若い子だと「細菌感染・肺炎・外傷」などが多く
年を取ってくると「心筋症・肝リピドーシス・骨髄炎・腎疾患」
などが増えてくるようですね。
病気の考察・若い内の注意点
上の論文の図などから考えると
ヒメハリテンレックさんの病気の傾向は
他の動物たちと似てはいそうですね。
歳をとってくると内臓器(心・肝・腎)や腫瘍が増える。
若い内は飼育環境などの問題もあってか
外傷などの事故や細菌感染(呼吸器など)に注意が必要。
ということですね。
飼育の仕方がまだ確立されている子達じゃないので、
様子を見ながらにはなりますが、
若い内は清潔かつ温かめな環境で呼吸器感染などに注意し、
飼育環境内で怪我・事故を起こさないか?考えてあげると良さそうですね。
外傷についての詳細は載ってないのですが、
手先が器用で高い所にも登れる子達なので、
「高い所からの落下」や「金網や隙間に手足をひっかけること」
などには注意が必要だと思われます。
年齢を経た子達については、
病気の早期発見できればいいのですが、
「冬眠する」という特徴もあって
体調が悪いのか?生理現象なのか?
分かりにくくなりそうですね。
高齢期の死因に多い内臓をしっかり調べるには、
麻酔をかけて血液検査・レントゲン・エコー検査などやりたいところですね。
あと、今回の死因には直接関わってないようですが、
寄生虫疾患にもかかるので、
飼い初めの検疫・病気の早期発見のため
外部寄生虫(皮膚につくダニなど)や
内部寄生虫(うんちに出てくる虫など)の検査はオススメです。
まとめ
まとめとして、
ヒメハリテンレックさんの死因・病気については
〇いまだ完全には分かってはいない。
〇生まれて24時間で亡くなる子が多い。
〇出ている情報の中では、若い子は特に細菌感染・肺炎・外傷に注意
〇年を重ねた子は、特に心臓・肝臓・腎臓や腫瘍に注意
〇若い子は清潔で温かめの環境がいいかも?
〇飼育初めに寄生虫がいないかはチェックしてもいいかも?
といった感じですね。
ちなみに今回の報告の中での最長寿の子は18才だったようです!?
凄い!
参考文献
1)Tera MH, Scott HH. (2017) Evaluation of husbandry and mortality in Lesser Hedgehog Tenrecs (Echinops Telfairi). J Zoo Wildl Med. 48(2):440-445.
死因・病気については、まだ詳しく分かってないんですね…
マイナーな動物は、やはり飼育が難しいのでしょうか?
動物が好きでいつか一緒に暮らしたいと考えています。
私のような初心者が、飼いたい動物を選ぶ時は、研究等進んでいる人気な動物を選ぶべきでしょうか?
そうですね(^^;)
今後の研究が待たれるところですね!
マイナーな動物が飼育が難しいかというと
そうとも言えないと思います。
丈夫な子もいれば繊細な子もいるので、動物によりけりですね。
もちろん人気な動物たちの方が飼育方法が確立されていたり
飼いやすいのは間違いないです。
ですが、自分的には
好きで可愛がることが出来る、その子のために勉強できる
ということであればマイナーな動物さんを迎えるのもありだと思います。
そのためには、飼育前・購入前に、
・ペットショップで飼い方を聞く
・情報が少なければ、自然界での生き方(生息環境、ご飯など)を調べる
などが大事ですね。
あと、個人的には
「若すぎる動物を飼わない!」ことも大事だと思います。
今回のヒメハリテンレックさんの報告もそうですが、
幼い子の致死率が高い子が多いです。
人間もそうですが、
乳幼児を育てるのが一番大変でリスクが高いです。
その子を大事にしてあげるために、自分が悲しまないように
ちゃんと大きくなって(成人)、しっかりした子を可愛がってあげてください。
動物病院でも初めて動物を飼う方が
幼い子の突然死や状態の急変で悲しむことを良く見ます。
幼い子はたしかに可愛いですが、
初めての方にはオススメしません。